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トランクの中身

ごきげんよう。しんたろーでございます。

書くことがないというわけではない。
寧ろあるのだが、これは一区切りついたほうがいいと思って、書かないでいた話なのだが、どうにも一人では解決できなさそうなので、投稿することにした。

というのが今回の話です。

よろしければ、追記からお願いします。


ジキルと右脳がキャッキャと話す様子はさながら女子会といった様子で、大変微笑ましい。私は自分には高貴すぎるソファに腰をかけながら、左脳の淹れた紅茶を飲む。味を感じる事はできないが、最近ふと茶葉の香りを楽しめることに気がついた。

屋敷も広々としてきて、ようやく内装が外観に追いつきつつあった。余計な部屋数はないが、私室と玄関と食堂、左脳と右脳の部屋、そして客室がいくつかあって、たまにふらりと立ち寄る誰かさんも問題なく寝泊まりできるくらいには充実していると思う。

ジキルの部屋も作らねばならないだろう。

彼の様々なコスチュームは場所を取るだろうから、ウォークインクローゼット?なるものをつけた方がいいだろうか。と言うと、

「私達の服は、変化の副産物だから、クローゼットはいらないわよぉ」

とジキル。


『てっきり、あの大きなトランクケースに君の衣装がたっぷり詰め込まれているんだと…』

「あれはねぇ、前ご主人ちゃんが持たせてくれたんだけど、鍵がなくて開かないのよ」

「…君はあれがなんなのか知らないの?」

「そうねぇ。私達のじゃあないわねぇ」


曖昧な返事が返ってくることに疑問を覚えていると、小気味の良い「ガチャ」という音が背後からした。見れば「あ、開いた」と右脳と、先程まで隣で控えていた筈の左脳が興味津々にトランクの口を広げようとしていた。


「気になるものは開けたくなるよねぇ左脳?」
「えぇ、好奇心が抑えられなくて…」

「ねぇ、それ人の持ち物」

『鍵かかっていた筈では…』

「そこは魔法の力で…」

『手に持ってるの魔法の杖(ヘアピン)なんだよなぁ』


物理こそマジックってか(遠い目)


「あら、開いちゃったのね。なら見てもいいわよ。開いちゃったんだもの」

「申し訳ございません♡」

「オープンザトランクー!!!」

「遠慮ないなおい」

『いいの?』

「あのひとが閉めたものがあの程度で開くわけないもの。なら開くべくして開いたのよ。多分、最初からあの子達宛てなんだわきっと」


トランクを開けたふたりから歓声もなにも上がらず、思ったよりも静かなのを気になって、ハイドの服の裾を掴みながら、そっと後ろで覗き込んだ。

トランクの中では、実物大くらいのリアルな狸と、狐のぬいぐるみが、(クッション材代わりに詰め込まれたのか?)敷き詰められた薄緑色のランのような花に寝転んでいる。



『随分とリアルなぬいぐるみだね?』

「…君の話の通りなら、これは2人宛と言う事になるけど」

「そうねぇ」


右脳が、徐に狐のぬいぐるみを持ち上げた。目をパチリパチリとゆっくり瞬かせて、徐々に頬を染め上げていく。左脳も、狸を興味深そうに突ついていた。


「これ、すごいね。オレ達のこと、すごく、すっごく知ってる人みたい」
「代理とはいえ、その目は全てをお見通しというわけですか。これは、悪いことはできませんねぇ」


精巧にできている事以外は、私の目では特別な要素は見つけられないが。
ふたりにとってはそうではないようだ。とても嬉しい、意味のある贈り物であったのは表情から充分に受け取れる。



『…良かったな?でいいのか』
「…さぁ」
『まぁ人のカバンは勝手に開けちゃダメだとは思うが』
「それもそうだけど。…あの2人の喜ばしいことが、君にとっても喜ばしいこととは限らないでしょ」

チラリとハイドはジキルを見るが、彼は困ったように肩をすくめるだけだ。

2人が嬉しいなら、それは私にとっても嬉しいことなのではないのか?



不思議に思っていた私だが、それはすぐにわかることになった。

次の日。
ふたりから一種の暇の申し出があったのである。

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それでは、今回はここまで。
閲覧ありがとうございました。
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しんたろー

Author:しんたろー
エキセントリックな思考の虫。
INTP性格型。

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